「枠組足場」はシンプルな設計を採用しており、簡単に組み立てやすいのが特徴です。高い安定性や耐久性も備えているため、一般住宅から高層ビルまで幅広い用途で活用できます。
今回は、枠組足場の相場や主要部材などについて解説します。メリットやデメリットについても紹介するので、枠組足場の設置を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
枠組足場とは？
枠組足場とは、鋼管を門型に溶接した建枠にさまざまな部材を組み合わせた仮設足場のことです。1952年(昭和27年)にアメリカのビティスキャホード社から輸入したことをきっかけに「ビティ足場」とも呼ばれています。枠組足場は、現在も多くの建設現場で使用されている主流の足場材です。
建枠を中心として、ジャッキベース・鋼製布板・筋交いなどを組み合わせるのが特徴です。クレーンを使うことで大組み・大払しと呼ばれる工法で設置できるため、高所での足場作業を効率的に進められます。高層マンションなどの大規模な施工を行う場合におすすめです。
組み立て作業を行う際にハンマーではなく、ボルトや番線などを使用します。くさび緊結式足場と比較して騒音を軽減できるのもメリットです。また、足場材のなかではスタンダードなタイプなので、組み立てや解体作業をスムーズに行えます。
枠組足場の主な部材
枠組足場の主要な部材は、建枠・ジャッキベース・鋼製布板・筋交・脚注ジョイント・クランプ・階段枠・梁枠・壁つなぎ・手すり柱・手すり枠・メッシュシートなどがあります。
枠組足場は、落下防止対策として手すり枠・幅木・メッシュシートの設置を義務付けられている点には注意が必要です。ほかの足場と比較して組み立てに必要な部材が多い傾向にあります。
枠組足場の寸法と種類について
枠組足場の寸法には「インチ規格」と「メーター規格」の2種類があります。アメリカでは一般的にインチ規格が使われているため、輸入当初はインチ規格が普及していました。しかし、現在では日本で馴染みのあるメーカー規格もラインナップされています。
インチ規格は短い製品で610mm、長い製品は1829mm。一方でメーター規格は短い製品で600mm、長い製品で1800mmです。インチ規格よりもメーター規格の方がやや短いため、部材の運用コストを抑えやすい傾向にあります。
なお、同じ枠組足場でも規格が異なる場合は、併用できないので注意しましょう。
枠組足場の高さ制限について
枠組足場は安全性の観点から高さ制限が設けられています。
標準枠組足場と簡易枠組足場の場合は原則として高さ45m以下、地上から15階建てほどの高さです。壁つなぎは水平方向8m以下、垂直方向は9m以下の間隔で設置します。
低層工事用の簡易枠組足場の場合は、高さ5.7m以下の制限が設けられているのがポイント。壁つなぎを垂直方向に3段ごと、水平方向で5.4mごとに取り付けた際は高さ制限が9.4mになります。
制限を超える足場を建設するのであれば、枠組足場以外を使用する必要があります。
枠組足場のメリット・デメリット
枠組足場のメリットとデメリットについて解説します。
メリット
枠組足場には強度の高い素材が使用されているため、耐久性に優れているのがメリットです。耐久性の高さは安全性にもつながるので、高層工事の足場材として適しています。
破損などをしにくいため、長期間使用しやすいのもポイントです。状態によっては部材を買い換える頻度を軽減できます。
組み立てや解体作業が比較的簡単しやすいのも枠組足場の魅力です。ほかの足場材と比較するとシンプルな設計の製品が多く、スムーズに組み立てや解体を行えます。鋼製布板の表面に凹凸が施されているので、滑りにくい点も組み立てやすい理由のひとつです
デメリット
一方で枠組足場には、デメリットも存在します。枠組足場は各部材を組み合わせる必要があるため、複雑な形状の建物に不向きなことも。特にカーブ状の建物に設置する際は、工事に時間がかかるケースもあります。
耐久性に優れており、長く使用できるものの、部材自体のコストが高くなる傾向にあります。予算が限られており、ほかの足場材を代用できる際は枠組足場以外の選択肢も検討する判断も必要です。
枠組足場の価格相場
枠組足場の価格相場は、1㎡あたり約1,000〜1,500円です。枠組足場を建設する場合は「足場の面積(㎡)×平米単価」で導き出せます。
なお、高所作業が必要になる建物は、相場の価格よりも高くなる点には注意が必要です。低層の建物よりも安全対策を強化する必要があるほか、熟練した技術力を要するのも理由になります。
なかには、足場業者によってはメッシュシートの設置費用が加算されているケースも。1㎡あたりの価格相場や費用が加算される条件などは、足場業者によって異なるので事前に確認しておきましょう。
大規模な建造物なら枠組足場を検討しよう
さまざまな建設現場で使用されている枠組足場は、高い安定性と組み立てやすさを実現しているのがメリットです。ほかの足場と比較して作業スペースを確保しやすいため、大規模な建造物に適しています。
ただし、複雑な形状の建物は不向きなので、現場調査をしっかりと行うのが大切です。枠組足場のメリットとデメリットをしっかりと把握したうえで導入を検討してみてください。
